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最早残骸
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 3月11日金曜日に東北地方を中心に大地震が発生して、2日と半日ほど経過しました。被災された方々には心からお見舞い申し上げます。
 あと半日ほどで災害発生から3日経過することになり、最近ではニュージーランドの地震災害の際にも話題に上がった”72時間の壁”というものも問題となってくるのだろうかと、素人ながらに心配しています。
【NZ地震】援助隊に立ちはだかる“72時間の壁” - MSN産経ニュース


 今回の地震で、福島県にある2か所の原子力発電所も、報道によりますと、緊迫した状態にあるようであり、そちらの事態の経過も不安に感じています。現在、世界的に見ても日本の原子力発電施設の技術力は高いレベルであると言われていますが、その日本において原子力発電所にこれだけの危険が発生しているということは極めて重大な事態であると思います。報道による限り、明らかに事業主である東京電力は原子炉の制御能力を失っており、様々に用意されていた安全対策も次々の不具合や故障により決して万全なものではなく、むしろ不十分なものであったと見られてもおかしくない状況です。
 もし万が一、どのような規模になるかは分かりませんが、何らかの核汚染が発生するような場合、所在地である福島県はもとより、広範な範囲で”核の恐怖”に対応していかなくてはなりません。
 また、無事今回の原子炉全てを安全域で管理できる状態にまで持っていけたとしても、今後国内の原子力発電には厳しい目が向けられることになるでしょう。日本には各地に原子力発電施設があり、どれも安全性が強調されていますが、今回の福島の原発もまた同じように存在していたのです。今後各施設は、今回の事態を教訓に設備の改修や強化などで安全対策を進めていく事になるだろうと思いますが、しかし事態は起きてみなくては分からないものです。
 しかし、今の日本において原子力発電はなくてはならないエネルギー源であるというのも、一つの事実です。今回の震災におる影響で、東京電力は必要な電力供給量を維持できなくなったとして計画停電の実施を行うとしていますが、当然その電力不足の原因の一端は先の原子力発電所の停止によるものです。
化石燃料資源に乏しい国内において、石油や石炭、天然ガスを消費する火力発電はコスト的にも資源量的にも環境負荷的にも本来あまり望ましいものではなく、また水力ではとても必要なエネルギーを賄えないことから、原子力は重要なエネルギー源となっています。原子力に依存する分の電力をもし利用できないとなった場合、国内では電気料金を大きく釣り上げてでも他の発電方式に頼るか、あるいは電力使用量を大きく制限するか、のどちらかの方法で対策しなくてはなりません。しかし、いずれにしても、現在日本は経済的に苦しい状況にあり、また電気を大量消費する生活・社会構造が確立されてしまっているため、非常に大きな負担を国民全員がすることとなります。
現在短期的には、大災害への対策ということで、多少の負担には多くの国民は耐えられると思いますが、これが長期化した場合恐らくは不満は大きなものとなるでしょう。また、現在は気候的には春に近付いている段階で空調設備の停止にも対応できる地域が多いかと思いますが、これが夏や冬、それも去年のような極端な猛暑、極寒となった場合、人命維持のためにも電気が必要になります。そう考えたとき、やはり原子力エネルギーから完全に脱却することは、当面不可能でしょう。
 理想的には高効率で安定、安全な代替エネルギーの開発です。太陽光や風力、潮汐、地熱などのエネルギーが今も利用されていますが、その効率改善やそれ以外のエネルギー源の開発に期待です。また、原子力エネルギーとしても、核分裂を伴う現状の原子力発電ではなく、核融合による発電技術の開発が進むことも有効な代替エネルギーとなるでしょう。反応の暴走を食い止めることが課題となる核分裂と異なり、核融合は反応を持続させること自体が現在の技術では難しく、課題となっています。なので、万が一今回のような事故が起こっても、炉自体は早期に停止することが期待できます。もちろん莫大なエネルギーを持ち、放射能を持つ施設が災害にあうのですから危険性は大きいですが、現状の核分裂方式を用い続けるよりは安全性や発電能力、また低海外依存度などでメリットが大きいため、良いのではないでしょうか。


 今回の地震では、被災時にインターネット上の様々な技術が広く活用されました。一方で、回線の輻輳やサーバーの処理能力の圧迫、デマの拡散といった事態も発生しました。開発され整備された技術は明らかに過去の震災時よりも有効に機能しましたが、その上で展開されるサービスや利用者の能力・モラルはまだまだ向上させなければいけない、という事ではないかと思います。
 GIGAZINEさんの記事に次のようなものがありました。
 遠くからでもできること、すべきでないこと、被災地の人々に迷惑をかけず助けとなるための行動法まとめ - GIGAZINE
 これは被災していない地域の人間の行動に対しての記事となっていますが、特に現在の情報化社会において、
>◆むやみに情報を拡散させないこと
この一点は非常に重要なことであると、自分は考えます。
 現在インターネットには、莫大な情報がありますが、その中にはデマや誤報、誤解も相当数含まれています。平時に、あまり重要性のない情報であれば、それらは大きな問題となりませんが、今回の災害のような場合にはそれは人命にも直結する問題となり得ます。インターネット上のサービスの多くでは、情報の受信と送信を誰もが行えるため、その内容がどの経路を通り、どの程度の信頼性を伴って存在するかという点は保証されません。そのため本来は情報の受け手がその確認を行わなくてはならないのですが、災害時はそれだけの手間をする余裕がない場合があり、また興奮や焦りから判断能力も失われます。通信回線の輻輳回避のためにもそのような無駄な手間は増やすべきではなく、さらに言うなら間違った情報・意味のない情報は流れるべきではありません。
 インターネットは多数の情報が生々しく伝えられ、また利用者自身も発信者となり得るため、他の受容主体のメディアに比べて一体感や臨場感、その事態に参加しているような感覚を受けがちになると思います。しかし、実際危険にさらされている人と、はるか数百キロ彼方で端末に向かっている人では、必要としている情報の種類も重みも全く異なることが普通です。なので、特に被災していない人々は、普段以上に冷静で慎重なサービスの利用が求められます。
 
 今回、なぜインターネットが電話回線などより優位に使用できたかについて自分なりの理解を少し。
 そもそもインターネット、つまりTCP/IPのIPによる通信は、パケット交換方式の通信手段として設計されています。パケット交換方式は、ざっくり説明しますと、情報をデジタル化したうえで決まった大きさのパケット(まとまり)に分け、それを送り先に個別発送する通信方式です。各パケットはその時々で利用可能な最適な通信路を通って相手に伝送されます。これを日常的な例にあてはめますと、送りたい荷物を、決まった大きさの箱に入るように切断して格納し、それらを送り先に個別に発送する、という形になります。荷物Aは郵便局で送るが、宅配便の方が早いことがわかったから荷物Bは宅配便で送る、ということもあります。場合によっては、郵便サービスを利用せず送り先に出向く人に荷物の配達を依頼する場合もあるでしょう。そして、荷物を受け取った人は各荷物の中身をくっつけて最終的に中身を手に入れます。ここで重要なのは、荷物の配達経路は固定されていない、という点です。そのため、データの転送速度は経路によって早くも遅くもなり、また確実に届くかどうかも保証されませんが、しかし通信資源を有効に活用してデータの転送が行えます。(ちなみに、IPがパケットの確実な伝送を保証しないため、インターネットの通信で広く用いられるTCPはパケットの正確性の検証や再送信要求を行います。逆にこれらを行わないUDPというプロトコルもあります)
 一方一般の電話回線は回線交換方式という方法で通信しています。これは、(同じくデータ自体はパケット化するのですが、)その通信路は完全に固定して通信を行う方式です。送信元から受信先への通信路を確保し、その確保された通信路の中で必要なデータを転送します。先ほどの荷物の例を用いるならば、まず荷物を運ぶために、必要な配達人を十分に用意し、送り先までの道も完全に独占したうえで、データを転送します。この間、その道は他の荷物は通ることができません。このためデータの転送速度は一定であり、また確実に伝送されますが、一方で無駄が多く、また同じ経路は一度に決まった数の通信でしか利用できないので同時に多くの人が利用することはできません。
 今回のような大災害が発生した場合、電話回線は回線交換方式の弱点である同時通信量の限界により、多くの個所で通信が行えなくなります。一方、インターネットは、理論上相手との間に伝送ルートがありさえすれば、通信が可能です。実際は事業者の都合や機器の状態によってうまくいくとは限りませんが、回線交換方式よりは広く効率的に利用可能なはずです。もともとパケット交換の概念は、アメリカなどで戦争時に通信設備が攻撃で破壊されても別回線で通信が維持できるように、と研究・開発されました。なので、今回のような災害時には強いのは、ある意味で当然と言えるかもしれません。
 しかし回線設備の速度低下とサーバーの処理能力低下などが原因だと思いますが、インターネットでの通信も十分な速度が維持されているとはいえません。災害により通信設備が破壊され、また通信量が増えることで、稼働している通信路の負荷が大きくなるため、必然的に通信速度は低下します。また、いわゆるサーバ-クライアント方式をとるサービスは、特定のサーバに大量のデータが集まることでサーバがそのデータを受信・処理・発送するのに時間がかかり、結果的に速度が低下します。このような場合には、クライアント同士が直接通信を行うP2P技術を利用したSkypeの利用は、サーバの負荷低減のためには有効であったと考えられますが、通信路を圧迫する可能性はあるので万全とはいえません。また、Twitterを用いた災害情報の配信も行われていたようですが、被災地外に大きなスループットを有するサーバを持つためサービスを維持できたのだと思います。こちらもあまり多用しすぎるのは通信量を増やすので良くないでしょうが。
 今回のこのような事態を見ていますと、緊急時にはアドホック通信による安定したネットワーク形成技術があると良いと思いました。もともと研究が進められている技術ですが、広く、端末や回線を選ばずに、緊急時には通信網が形成できるようになると良いと思います。自動的に各端末の情報をシェア出来るようにすれば情報の共有や被災者の捜索などでも活用できるかと思います。

 ついでになりますが、普段は報道はWEBに頼っている自分ですが、今回はNHKの放送をテレビやインターネット配信で長時間見ました。改めてマスコミというものの必要性を痛感しました。NHK以外の報道は個人的には報道体制や情報量の面でNHKより有益と感じなかったためほとんど見ませんでしたが、恐らくそれらの中にも有益で重要な報道があったものと思われます。マスコミは報道機関を指す言葉として利用されることが多いですが、実際には大衆に情報を伝達することそのものを指します。対義語は、自分は大学の講義で「口コミ」であると教わりました。今回2ちゃんねるやニコニコ動画、Twitterはこちら側に当たるでしょう。マスコミは情報発信が一部の発信者に固定されるため内容に隠蔽や偏向が生じる可能性があります。一方口コミは、真実がそのまま配信されることもあり得ますが、当然発信者個々人による内容の隠蔽や偏向の可能性はあり、また情報の誤解や不適切な表現もあるでしょう。さらに情報量が莫大になりすぎる問題もあります。
 特に、緊急時にはあらゆる情報が飛び交いますが、その中身をどう処理するか、どう取り扱うかという問題には課題が多く残ることが確認されたように思います。情報工学を研究する身として、今回の出来事から学ぶべきことは多いと思いました。
 自分が一つ言えると考えるのは、テレビやインターネットを妄信せず冷静に各情報を判断する必要がある、ということです。極端なことを言えば、人間には目の前で起こっている事態ですら、短時間では全てを正しく適切に理解することはできません。ましてや遥かに情報量の少ない媒体を通じて得られる情報を、いくら整理されていても、適切に取り扱うのは不可能でしょう。重要なのは手に入れた情報を自分の中で整理し、判断し、必要なら調査して、対処することです。

 コンピュータの勉強を夢見て大学に入学した当初は、「情報科学」という学問名に、「情報ってなんだよ!」ぐらいの認識ぐらいしか持っていませんでしたが、現在は情報というものの大きさ、難しさに圧倒されています。
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