最早残骸
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ガンダムAGEの感想.
既に最終話放送から一週間も経ってますね.一年も続いたアニメが終わるといつも寂しくなります.あの感覚は1クールアニメでは中々味わえず,2クールでも作品によりけり.そういう意味で一年やることによる一つのメリットではないかと思います.
さて,放送開始前から色々と話題をさらい,自分も不安とともに視聴を開始したAGEでしたが,第一話で主人公フリットの友人のディケを見た時には正直絶望しました.「将来Gジェネとかやる時に通常頭身の他作品キャラに交じってこいつが出てくるのか!?」と.しかしまあ,慣れとは恐ろしく,加えてよくよく考えるとこれまでの作品の絵柄も作品ごとに大きく異なっていたため,次第にキャラの造形はどうでもよくなりました.
メカに関しては正直敵がしゃべらなかった時代,ヴェイガンが宇宙怪獣としてしか見れなかった時代には抵抗が強かったですが,コクピットが映るようになると楽しめました.ガンダムの魅力はやはりMSが兵器であり,ちゃんと生身の人間が乗って戦っているということ(そしてそこにドラマがあること)だと思うため,その描写がアセム編以降始まったことは良かったと思います.しかし,今作のメカニックに一つ不満があるとすればどの機体もトゲトゲし過ぎ,という事でしょうか.前作00でもその傾向があり,ティエレンなどの丸くて無駄の少なそうないかにも兵器っぽい機体以外はどうにも苦手でしたが,AGEも敵のメカはどれもトゲトゲしていて苦手でした.反対に連邦側のメカニックはいかにも量産機,というシンプルさで,しかも後半に行くにしたがってカッコよくなっていったので好印象でした.戦闘も遠距離射撃戦だけでなくドッグファイトがしっかりと描かれ,キオ編でのアビス隊の活躍は非常に面白かったです.しかしAGE-FXだけは最後まで趣味に合わなかったですが.
さて,次は物語に関して.言いたいことは色々ありますが,やはり何より「いろいろ詰め込みすぎ」という印象でした.特に,せっかく三世代というギミックを仕込んでおきながら各世代で同一の人物や縁のある人物が出てくる,という事をほとんどしなかったのは残念でなりません.そのため,物語に厚みが感じられず,説得力も薄くなってしまっていたように思われます.もっと重要な要素だけを抽出して物語を再構成できないものでしょうか.
三人の主人公の物語としては,個人的には面白い作品だったと思います.
フリットの物語としては,英雄を目指した純粋な少年が,母を失い住んでいたコロニーを失い仲間を失い愛する人を失って,結果その行くべき方向を間違い,しかし長い闘いの果てに真の英雄となる,という感じでしょうか.最後の改心があっけなさ過ぎた気はしますが,もっとうまく描いていたとすればドラマのある展開であったと思います.「長く憎悪を持つ」というのは中々物語の中では描き切れませんが,少年時代に心に傷を負った主人公が老人になるまでその思いを捨てられずにいるという表現ができる土台があったのは,良かったと思います.あとはそれをうまく表現できていれば,と素人ながら考えてしまいます.
アセムの物語としては,「成長」という言葉がふさわしいでしょう.父を超えたいという思いと,かつての親友に追いつきたいという思いに苦しんで,自分らしくあれというウルフの言葉に救われ,最後は自分らしい姿(海賊という意味ではない)で父親と対峙し,親友との決着をつけました.僕は,彼こそが本作の真の主人公であったと思います.
キオは3人の中では個人的には少し苦手な主人公でした.特に後半不殺を宣言してからは「もうやめよう」ばかり叫ぶので,正直あまり好感は持てませんでした.しかし,放送時間帯が夕方で,低年齢層をターゲットにしていた以上彼の存在は必要なものであったとは思います.理想論であっても「反戦争,反人殺し」というテーマを訴えていくことは重要であり,「生き残るためには殺すこともやむなし」と割り切るにはそれなりの道徳が必要です.(実際の視聴者はともかく)小学生も見るアニメを作る以上,彼の行動は理想像そのものであり,見ていて不快な気がするのは当然の事なのかもしれません.実際キオの不殺の意思は最後の最後まで特に敵味方に尊重されず,それどころか視点を変えれば味方を殺しています.それでも理想は叫ばれねばならないものであり,キオのポジションとは正にその叫びであったのかもしれません.少なくとも不殺を叫びながらも敵を殺して回り,平和を歌いながらも第三局となることを選んだ某キャラ達とどちらが良かったかは,比較できないでしょう.ところで不殺をテーマとするなら「これから」ではなく過去の「無知なる時代の殺人」を悔やんで欲しかったものです.何も鎮魂のためにお遍路詣りに行けとまではいわないですが,自分の奪った命の重さを噛みしめるぐらいのシナリオは一話あってほしかったです.
自分の中でガンダムAGEの最終回は,最終話ではなくその一個前,48話だと思っています.第二世代からの因縁がついに決着がついた話で,正直不満の多い最終回よりずっと好きな話です.
ゼハートに止めを刺したのがアセムだったことは非常に良い展開であったと思います.先ほども書きましたが僕は彼こそが本当の主人公であると思っているため,宿命のライバルを打ち取ったラストシーンとして十分用を満たしたと思います.ゼハートが速攻で負けてしまったことには批判もあるようですが,個人的にはそれだけアセムが成長したという事と,ゼハートが歪んでしまっていたという事,そして親友としてそれを全力で正そうとしたシーンであったという事が感じられ,感動しました.アセムはXラウンダーでない身でありながら,長い戦いの果てについに最強のラウンダーすら凌ぐスーパーパイロットになったのです.そして,若き日の親友と短い時間ながら再び心を通わせ,彼の戦いは終わりました.あとは種みたい「この後戦争終わるよー」ぐらいの雰囲気にでもしておけば良かったと思います.EDは個人的に作中最高の曲だったと思うアセム編EDのMy Worldに差し替えてほしかった.アセムがゼハートを倒したその後にこそあのEDはふさわしいと思います.
ということで,最終話まで見て最後の一話は正直蛇足だったと感じたわけです(フリットの改心のために必要だったのはわかりますが).本来のラスボスであるべきゼハートのライバルはアセムで,年老いて病身のイゼルカントを殺して終わったのでは後味が悪い,ということでのシドとゼラ・ギンスだったのでしょうが,見るからに「ラスボスとするために作られた」感がありありで,結局すっきりしませんでした.だから48話で終わっておけば良かったのに・・・・・・.
とはいえ,最初にも述べましたがやはり長く続いたというのはそれだけで得で,一抹の寂しさを感じます.作中時間でも長く戦い続けたディーヴァの最後は,感慨深くありました.特にクルーが三世代もいたというのを表現できたのはとても良かったと思います.ますますそこを掘り下げて各世代深く描けていなかったのが残念.
とまあ,以上が自分の感想です.正直最初の期待が低かったこともあり,今思えばなかなか楽しめたものの,最後の最後でちょっともやもやした作品でした.
これで終わりという事なく,今後もガンダム作品は作り続けられていってほしいです.何だかんだでガンダムは見てしまいます.
既に最終話放送から一週間も経ってますね.一年も続いたアニメが終わるといつも寂しくなります.あの感覚は1クールアニメでは中々味わえず,2クールでも作品によりけり.そういう意味で一年やることによる一つのメリットではないかと思います.
さて,放送開始前から色々と話題をさらい,自分も不安とともに視聴を開始したAGEでしたが,第一話で主人公フリットの友人のディケを見た時には正直絶望しました.「将来Gジェネとかやる時に通常頭身の他作品キャラに交じってこいつが出てくるのか!?」と.しかしまあ,慣れとは恐ろしく,加えてよくよく考えるとこれまでの作品の絵柄も作品ごとに大きく異なっていたため,次第にキャラの造形はどうでもよくなりました.
メカに関しては正直敵がしゃべらなかった時代,ヴェイガンが宇宙怪獣としてしか見れなかった時代には抵抗が強かったですが,コクピットが映るようになると楽しめました.ガンダムの魅力はやはりMSが兵器であり,ちゃんと生身の人間が乗って戦っているということ(そしてそこにドラマがあること)だと思うため,その描写がアセム編以降始まったことは良かったと思います.しかし,今作のメカニックに一つ不満があるとすればどの機体もトゲトゲし過ぎ,という事でしょうか.前作00でもその傾向があり,ティエレンなどの丸くて無駄の少なそうないかにも兵器っぽい機体以外はどうにも苦手でしたが,AGEも敵のメカはどれもトゲトゲしていて苦手でした.反対に連邦側のメカニックはいかにも量産機,というシンプルさで,しかも後半に行くにしたがってカッコよくなっていったので好印象でした.戦闘も遠距離射撃戦だけでなくドッグファイトがしっかりと描かれ,キオ編でのアビス隊の活躍は非常に面白かったです.しかしAGE-FXだけは最後まで趣味に合わなかったですが.
さて,次は物語に関して.言いたいことは色々ありますが,やはり何より「いろいろ詰め込みすぎ」という印象でした.特に,せっかく三世代というギミックを仕込んでおきながら各世代で同一の人物や縁のある人物が出てくる,という事をほとんどしなかったのは残念でなりません.そのため,物語に厚みが感じられず,説得力も薄くなってしまっていたように思われます.もっと重要な要素だけを抽出して物語を再構成できないものでしょうか.
三人の主人公の物語としては,個人的には面白い作品だったと思います.
フリットの物語としては,英雄を目指した純粋な少年が,母を失い住んでいたコロニーを失い仲間を失い愛する人を失って,結果その行くべき方向を間違い,しかし長い闘いの果てに真の英雄となる,という感じでしょうか.最後の改心があっけなさ過ぎた気はしますが,もっとうまく描いていたとすればドラマのある展開であったと思います.「長く憎悪を持つ」というのは中々物語の中では描き切れませんが,少年時代に心に傷を負った主人公が老人になるまでその思いを捨てられずにいるという表現ができる土台があったのは,良かったと思います.あとはそれをうまく表現できていれば,と素人ながら考えてしまいます.
アセムの物語としては,「成長」という言葉がふさわしいでしょう.父を超えたいという思いと,かつての親友に追いつきたいという思いに苦しんで,自分らしくあれというウルフの言葉に救われ,最後は自分らしい姿(海賊という意味ではない)で父親と対峙し,親友との決着をつけました.僕は,彼こそが本作の真の主人公であったと思います.
キオは3人の中では個人的には少し苦手な主人公でした.特に後半不殺を宣言してからは「もうやめよう」ばかり叫ぶので,正直あまり好感は持てませんでした.しかし,放送時間帯が夕方で,低年齢層をターゲットにしていた以上彼の存在は必要なものであったとは思います.理想論であっても「反戦争,反人殺し」というテーマを訴えていくことは重要であり,「生き残るためには殺すこともやむなし」と割り切るにはそれなりの道徳が必要です.(実際の視聴者はともかく)小学生も見るアニメを作る以上,彼の行動は理想像そのものであり,見ていて不快な気がするのは当然の事なのかもしれません.実際キオの不殺の意思は最後の最後まで特に敵味方に尊重されず,それどころか視点を変えれば味方を殺しています.それでも理想は叫ばれねばならないものであり,キオのポジションとは正にその叫びであったのかもしれません.少なくとも不殺を叫びながらも敵を殺して回り,平和を歌いながらも第三局となることを選んだ某キャラ達とどちらが良かったかは,比較できないでしょう.ところで不殺をテーマとするなら「これから」ではなく過去の「無知なる時代の殺人」を悔やんで欲しかったものです.何も鎮魂のためにお遍路詣りに行けとまではいわないですが,自分の奪った命の重さを噛みしめるぐらいのシナリオは一話あってほしかったです.
自分の中でガンダムAGEの最終回は,最終話ではなくその一個前,48話だと思っています.第二世代からの因縁がついに決着がついた話で,正直不満の多い最終回よりずっと好きな話です.
ゼハートに止めを刺したのがアセムだったことは非常に良い展開であったと思います.先ほども書きましたが僕は彼こそが本当の主人公であると思っているため,宿命のライバルを打ち取ったラストシーンとして十分用を満たしたと思います.ゼハートが速攻で負けてしまったことには批判もあるようですが,個人的にはそれだけアセムが成長したという事と,ゼハートが歪んでしまっていたという事,そして親友としてそれを全力で正そうとしたシーンであったという事が感じられ,感動しました.アセムはXラウンダーでない身でありながら,長い戦いの果てについに最強のラウンダーすら凌ぐスーパーパイロットになったのです.そして,若き日の親友と短い時間ながら再び心を通わせ,彼の戦いは終わりました.あとは種みたい「この後戦争終わるよー」ぐらいの雰囲気にでもしておけば良かったと思います.EDは個人的に作中最高の曲だったと思うアセム編EDのMy Worldに差し替えてほしかった.アセムがゼハートを倒したその後にこそあのEDはふさわしいと思います.
ということで,最終話まで見て最後の一話は正直蛇足だったと感じたわけです(フリットの改心のために必要だったのはわかりますが).本来のラスボスであるべきゼハートのライバルはアセムで,年老いて病身のイゼルカントを殺して終わったのでは後味が悪い,ということでのシドとゼラ・ギンスだったのでしょうが,見るからに「ラスボスとするために作られた」感がありありで,結局すっきりしませんでした.だから48話で終わっておけば良かったのに・・・・・・.
とはいえ,最初にも述べましたがやはり長く続いたというのはそれだけで得で,一抹の寂しさを感じます.作中時間でも長く戦い続けたディーヴァの最後は,感慨深くありました.特にクルーが三世代もいたというのを表現できたのはとても良かったと思います.ますますそこを掘り下げて各世代深く描けていなかったのが残念.
とまあ,以上が自分の感想です.正直最初の期待が低かったこともあり,今思えばなかなか楽しめたものの,最後の最後でちょっともやもやした作品でした.
これで終わりという事なく,今後もガンダム作品は作り続けられていってほしいです.何だかんだでガンダムは見てしまいます.
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